ハンガリーの貯金箱



小学生の頃、たまに家族で食事に行くときは必ず銀座だった。
いつもよりちょっとおめかしして、家族4人で出かけるのは楽しかった。


お父さんは真っ先に行く用意ができて、玄関でそわそわ待っている。
続いて私、お母さんも準備完了。
そして私より7歳上の年頃のお姉ちゃんは、なかなか準備が整わない様子。
お父さんはせっかちなので、待てなくなると先に駅まで行ってしまう。
それからみんなで丸ノ内線に乗って銀座へ向かう。
あの頃の丸ノ内線が好きだった。
真っ赤な車体がかわいかった。


食事が終わった帰りみち、地下鉄に向かう途中のソニープラザで、
ほろ酔い気分のお父さんが、私たち姉妹に
それぞれ欲しいものを買ってやると言ってくれた。
喜び勇んで店内を探しまわって買ってもらったのが、写真のブリキの貯金箱。
以来20年くらいずっと側にある。


おうちの形で森の動物たちの銀行といったところだろうか。
4面にそれぞれ異なる絵が書いてあって、立体絵本のような感じで、
見ているとストーリーが浮かんできて楽しい。
裏にはメイド イン ハンガリーと書いてあったのを初めて知った。